3D-HuBEd No.1 -GENE-          

 遺伝学は、現在の生物分野において最もホットな学問である。 メンデルが1866年に遺伝の法則について言及したが、 遺伝学が本格的に研究され始めたのは1900年以降である。 そして現在、 遺伝子の本体や形質発現について多くのことが明らかにされているが、 それでもなおその根本に未知の部分を残した 最も魅力的な学問的分野として存在している。

 では以降、遺伝子の構造とそれぞれの機能について簡単な解説をしよう。 尚より詳しい解説を楽しむために、是非 WTモードへのアクセス をお勧めする。

目次:

        1.1 遺伝子の本体
        1.2 DNAの構造
        1.3 DNAとタンパク質の合成


1.1 遺伝子の本体

 遺伝子の本体がDNA(DeoxyriboNucleic Acid、デオキシリボ核酸) であることは、以下の実験によって明らかにされている。

 <アベリーの実験>  肺炎双球菌には、その細胞の周りに被膜をもち病原性のあるS型菌と、 被膜をもたず病原性のないR型菌とがある。S型菌を加熱し (=タンパク質は変性 し、DNAはそのまま残っている)たものではネズミは肺炎を起こさないが、 ここでこの加熱したS型菌とR型菌を混ぜて注射するとネズミは肺炎を起こす。 このネズミからS型菌が発見されることにより、 加熱したS型菌の何かがR型菌をS型菌に変える作用をもつことが確かめられる。 ここで、培養液中にS型菌のDNAとR型菌を入れると、 R型菌の一部がS型菌に変わる。 このことによりDNAが遺伝子の本体であることが明らかになった。


 <ファージの増殖>
 細菌類に入り込み、 その中で増えるバクテリオファージというウイルスがある。 このファージはタンパク質とDNAによって形成されている。 このファージのなかで、 T2ファージ は大腸菌に付着し、DNA部分だけを大腸菌の中に侵入させる。 そして大腸菌の中で多数の子T2ファージがつくられるのである。 このことからも、遺伝子の本体がDNAであることが明らかにされる。

1.2.0 DNAの構造

  核酸は、一個のリン酸、一個のD−デオキシリボース、 及び一対のプリン塩基またはピリミジン塩基からなるヌクレオチドが 鎖状につながった高分子化合物で、 DNAとリボ核酸(=RNA)に分けられる。 DNAのプリン塩基はリボ核酸と同じくアデニン及びグアニンであり、 ピリミジン塩基はシトシン及びチミンである。 RNAのピリミジン塩基はDNAと異なりチミンのかわりにウラシルである。 DNAはおもに細胞の核の中に存在して、 核タンパクとして染色体を形成し、遺伝子の本体である。 その構造は二重らせん構造としてワトソン、 クリック(Watson と Crick)らにより解明された(1953)。

1.2.1 ヌクレオチド

DNAのヌクレオチドはその塩基として があり、RNAの塩基には、チミンの変わりにウラシルが存在する。 またDNAのヌクレオチドに見られる糖はデオキシリボースであるが、 RNAのそれはリボースである。

1.2.2 二重らせん構造

 DNAの二重らせん構造は、 1953年に Watson と Crick によって提案された。 この三次元模型では2本のポリヌクレオチド鎖があって、 共通の軸の周りに右巻らせんを形成している。 この形状からDNAの構造は二重らせん構造とよばれる。 2本のポリヌクレオチド鎖は反対方向を向いている。 糖−リン酸の背骨は二重らせんの外側を巻いているが、 塩基は内側にあってその面はらせんの軸に直角である。
 塩基の間にはWatson-Crickの塩基対とよばれる特別な水素結合をした形がある。 アデニンは常にチミンと塩基対を形成し、 同様にグアニンは常にシトシンと塩基対をつくる。 このように塩基対をつくるので、 2本の鎖のデオキシリボースのC1炭素原子の間の距離は A−T塩基対でもG−C塩基対でも同じ長さである。 このような関係ゆえ、 A−T対でもG−C対でも二重らせんに組み込むことができるのである。


1.2.3 DNAの複製

 DNAが複製するときは、 まず末端のほうから二重らせん構造がほどけて2本の1本鎖に分かれる。 こうして露出された塩基のところへ、 それに補足的な塩基を含むヌクレオチド (リン酸と2−デオキシリボースと核酸塩基の結合したもの)がやってきて、 塩基の間で水素結合を作る。 こうして1本鎖DNAの各塩基に対して、 補足的な塩基をもつヌクレオチドが並び、そこでDNA合成酵素が働いて、 隣あったヌクレオチドの間に共有結合をつくる。その結果、 下の図のように、2個の二重らせんDNAができあがる。 このようなDNAの複製には二つの大きな特徴がある。一つは、 こうしてできた二つの2重らせんDNAは いずれも元の二重らせんDNAと同じ構造を持つことであり、 もう一つは、どちらの2重らせんも共に 1本の親DNAの鎖と1本の新しく合成されたDNA鎖からできていることである。 このような複製の仕方を半保存的複製という。


1.3 DNAとタンパク質の合成

 生体内のあらゆる有機化合物は、酸素反応によって合成されるが、 酸素をはじめとするタンパク質は、DNAの遺伝情報が一度にRNAに転写され、 さらにアミノ酸に翻訳されることにより合成される。
 タンパク質の合成を大まかにみると、およそ次のような順で行われる。
  1. DNAの二重らせんの一部がほどけ、塩基配列 (三つ組記号)がm−RNAに転写される。
  2. DNAの遺伝子情報を持ったm−RNAは核孔をへて細胞質内に出ていき、 その一端にタンバク質合成の場であるリボゾームと結合する。
  3. t−RNAが、リボゾーム上のm−RNAまでアミノ酸を運搬する。
  4. リボゾームは、m−RNA上を移動しながら塩基配列を解読し、 これに適合する塩基配列をもつt−RNAを次々に結合させる。
  5. こうして次々にペプチド結合していき、 遺伝情報に合うタンパク質が合成されていく。 アミノ酸を渡したt−RNAは再びアミノ酸の運搬にあたる。
このような流れによってタンパク質は合成される。



 
□第0章:3D-HuBEdとは □第4章:筋肉    □第7章:腎臓
 □第1章:遺伝子     □第5章:心臓    □第8章:眼
 □第2章:細胞      □第6章:肺     □第9章:耳
 □第3章:脳
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